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HOME > 100のしごと > 「生活の一部でありたい」山のパン屋が辿り着いた独自のスタイル No.018 たなかのパン 田中徳次郎さん

「生活の一部でありたい」山のパン屋が辿り着いた独自のスタイル No.018 たなかのパン 田中徳次郎さん

100のしごと 富士 山暮らし
  • 2020.11.28
  • written by 山本 卓
富士町にある田中のパンの店主 田中徳次郎

入り口で靴を脱ぐ。「おじゃまします」と声が思わず出るほどのアットホームな店内はかわいらしく、どこか懐かしさのあるログハウス風のたたずまい。佐賀市富士町にある隠れ家的なパン屋たなかのパン。お店の始まりは、さかのぼること100年以上前。大正5年というから驚きである。この店の4代目店主、田中徳次郎さん(35)。「お客さんには100年以上も続けていけるなんてすごいですねってよく言われますけど、実感はないんですよね」と話す。

      

たなかのパン。一番人気のクルミパン
クルミの甘さが程よい、たなかのパン一番人気のクルミパン

この店の一番人気といえばクルミパン。初めて見た時その大きさに驚かされた。クルミの甘さが程よく、食べ始めると、そのおいしさに手が止まらない。道の駅などのパンコーナーには、たなかのパンが並べられ、小中学校の給食でも、たなかのパンが出てくる。だから地元ではパンといえば、たなかのパンであり、日常にどっしりと根付いている。

4世代に渡り、家族で繋いできた100年という歴史の中で、日常に根付いたパン作りというスタイルを作り上げた「たなかのパン」。 地元の方々に愛されているだけでなく、口コミで県外からも多くのお客さんが来るほどだ。山の中でパン屋を営むための秘訣とは一体何なのだろうか? たなかのパンの店主 田中徳次郎さんにお話を聞きました。

         

「たなかのパン」は、約100年前に偶然始まった?!

たなかのパン 開店前のお店の外観
朝6時。開店前の「たなかのパン」のお店前。

本日は、よろしくお願いします。さっそくなんですが「たなかのパン」が始まったきっかけを聞かせていただけますか?

私も聞いた話なので、詳しくは分からないのですが。元々ひいじいちゃんが戦前に森永製菓、明治製菓と共に三大菓子メーカーと言われていた新高製菓(現在の佐賀市富士町にゆかりのある森平太郎が創業した製菓会社)で働いていました。中国の満州でお菓子作りの仕事をしていたそうで、たまたまパンの作り方を聞いたか習ったかしたのが、パンとの出会いだったと聞いています。

でも、ひいじいちゃんがパン屋を始めたのは、満州から佐賀に戻ってきてすぐの事ではないんです。戻ってきてから、水飴の販売や自転車のパンク修理、塩の販売など、たくさんの仕事のなかの一つとしてパン屋も販売を始めました。

         

そんなにたくさんの仕事をしていたんですね。では、仕事の形を今のようなパン販売のみにしたのは、いつ頃なんですか?

今から約30年前。私が小学生の頃に今の形になりました。父は農業や自転車のパンク修理をしながら、給食のパンなんかも作っていましたが、「パン屋一本でいこう」と父が決めてから、今の形のたなかのパンが始まったそうです。

           

日常に根付いた、たなかのパン。「素朴」というキーワードから見る、お店のスタイル

焼きたてのパン
朝8時頃。お店の中にはパンのいい匂いが充満しています

たなかのパンのチラシにも「素朴」というキーワードが書かれていますが、素朴という言葉にはどのような思いが込められているんでしょうか?

普段から手に取りやすいようなパンという思いを込めています。両親も意識したわけではないと思うんですが、街中のウィンドベーカリーとは違って、たなかのパンのコンセプトとしては日常に根付いたパンを届けたい。明日の朝ごはんにとか、ちょっとおやつにとか、日常的に食べてもらえるようなパンを意識しています。街中のウィンドベーカリーは、おしゃれで奇をてらったものが多いですが、私たちのパンは「ベーカリーよりむしろ、パン」なんです。

              

今までに奇をてらったパンを作ろうと思ったことはないんですか?

「たなかのパン」の味で、お客さんが喜んでくれているのであれば、自分が作りたいパンではなく、お客さんが喜んで食べてくれるパンを作ったほうがいいと思っています。
パンって、焼きあがった時点で自分の手から離れてお客さんの物になる。離れるってことは自分主体でパンを作っても仕方ないと思うんです。「これ絶対おいしいから食べて」とお客さんに勧めても、受け入れてもらえなかったら需要がないということ。だから、奇をてらったパンは作らないですね。

             

徳次郎さんがパン屋になったのは、両親のジャブが効いたから。

徳次郎さんがパンを作っている様子
一つ一つ丁寧にパンを作っている徳次郎さん

徳次郎さんは小さい頃からパン屋になりたいと思っていましたか?

漠然と「パン屋になるんだろうな」とは思っていたのかもしれません。両親から強制的に「次はお前の番だ」とストレートに言われてきたわけではなく、ボクシングのジャブを打たれるように、自分の心に、いつの間にか刷り込まれていました。(笑) 

                       

生まれた時からパン屋という仕事が身近にあったのも、きっかけの一つだったんですかね?

そうですね。小さい頃、家族で遊園地に行った経験ってあるでしょ? 私は無いんです。それが普通だったんです。一般の家庭との感覚の違いですかね。遊園地とかには行かずに幼少期は母に付いて行き、イベントなどでパンの移動販売の手伝いをしていました。でも手伝いという感覚ではなく、ごく当たり前に「母がいるから付いて行く」って感覚です。手伝いをする中で母から「あんたもパン売りなさい」と言われて、作ることよりも先に「モノをお客さんに買ってもらうこと」を覚えました。それから農業高校の食品流通課へ通い、卒業後、千葉にある家族経営されているパン屋で研修させてもらって、今に至ります。もちろんパン屋をやらないという選択もできたと思うんですけど、最後にパン屋を選んだのは自分。この仕事は好きなので納得しています。

               

都会のパン屋と山のパン屋の違い「暮らしに沿った働き方」

家族経営。田中のパンのご夫婦
家族総出で朝早くからパンを作っている。

山の中で働いていて、よかったなぁと思うことはなんですか?

都会との違いは、山は時間がゆっくり流れているので、焦って仕事をしなくてもいいところですね。研修中は常に時間との勝負でした。朝5時から閉店の20時まで、ひたすら作り続けていました。分刻みで仕事をしなければいけなかったので「もっと早くしろ。きれいに生地を切れ」とよく怒られていました。しかし今は、朝パンを焼いて、売り切れたら、その日は終了。昼頃に道の駅などに配達をしたら、あとは翌日の生地の仕込みをするだけ。なので、のんびりとまでは言わないけれど、余裕な時間があることが幸せです。

                  

千葉から佐賀の山に戻ってこられた時、仕事環境がガラッと変わったと思うのですが……。

とにかくうちはゆるい! うちのような家族経営のパン屋が全部そうではないと思いますが、他に比べて「ゆるいなぁ」って思います。その理由はプライベートも仕事も境界線が無く生活の一部だからだと思います。それに家族なので、お互い多く語らずとも、阿吽の呼吸で仕事ができてしまい、家族の空気感そのままに仕事をしてしまう。それが「ゆるさ」に繋がっているのではないかと。でも、それこそがうちの良さですけどね。

                

たなかのパンが100年以上も経営し続けてこられた秘訣は何だと思いますか?

パン作りは「給食のパンを作ってほしい」と始めました。それから地域の方に「直売所に置いてみたら」と声をかけてもらい、今も山の直売所や道の駅に置かせてもらっています。私たちが100年続けてこられたのも、すべて人のご縁で成り立っているところがあります。我を出して自分が作りたいパンを作っているわけではなく、お客さんが食べたいパンを作ってきたこと。山の暮らしに沿った仕事スタイルが、たなかのパンが続けてこられた理由なのかもしれませんね。

               

配達・陳列している様子
富士町にある道の駅「しゃくなげの里」に配達・陳列している様子

実際問題、山の中でパン屋を経営することは売上的にも大変じゃないですか?

店舗販売だけで経営することは厳しいですね。道の駅などでも販売させてもらっているのでありがたいです。お客さんからは「もうすこし値段上げたら?」とよく言われるんですが、あまりしませんでした。それは一個の単価を上げて自分たちが儲けることだけを考えすぎると、お客さんにハマらず、売れなくなってしまうから。なのであまり値上げは考えません。
やはり都会と違い、山は商売しにくいところですよ。(笑)

              

売上的にも厳しいとわかっていながら、山で仕事を続けていく為の、徳次郎さんなりのコツはありますか?

私はのんびりと暮らしたい。無理して生きていても意味がないでしょ。だから「自分に合ったゆとりある暮らし」と、「パン屋としての日常に根付くスタイル」が良い具合に混ざり合っているこの状況があることが、山で仕事を続けていけるコツなのかもしれないですね。

だから、お金を儲けようとして、山に来てはいけないです。山には今までの生活と違う「ゆとり」を求めて来ないと。お金儲けだけを考えるなら、今の生活スタイルもお店のコンセプトも考え直さなければいけない。でもそれはしないです。

                    

移住の魅力はひとそれぞれ違う。だから自分の体で幸せを感じてもらいたい。

笑顔で見送ってくださる徳次郎さん
取材後、笑顔で見送ってくださる徳次郎さん

佐賀のお山に移住をしたいと考えている方へアドバイスをお願いします。

移住したいと考えたときに、山暮らしの魅力って人それぞれ違うと思います。私には私の山暮らしの魅力があって、皆さんには皆さんが感じる山暮らしの魅力があると思います。皆さんが何に魅力を感じ、何に惹かれるのか、それを見つけもらえるといいと思います。そして、今までの生活と違う「ゆとり」を持ち、のんびりと暮らしてもらえたら嬉しいです。

                  

今の生活は好きですか?

のんびりと暮らせるので好きですね。散歩していて「今日も星がきれいだな」と思えるだけで良いですし、雑踏の音も聞こえない。カエルはうるさいですけど。(笑) それらすべてが私の思う山の魅力なんです。ただ、不便なこともありますよ。交通の便が悪いとか、車がなければ山での生活は厳しいとか。でも不便だと感じることなんて、全然不便で良いんですよ。大概、不便なことなんか、なんとでもなりますから。(笑)

それよりも、体感できる幸せを感じてもらいたい。目や口や耳で体感できる幸せを、この山に来て見つけてもらいたいですね。

私も、お山に移住をしてきて、ほんと些細なことに幸せを感じることがあります。これからも体全部で佐賀のお山を感じていきたいと思います。本日は、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。

★移住相談に関するお問い合わせはこちらまで★
https://saga100.com/contact

ー 編集後記 ー

徳次郎さんは「恩着せがましい人間は嫌いだ」と話す。そんな徳次郎さんとパンの配達に行った時のこと。配達先のお店で僕にアイスを買ってくれた。アイスを頬張りながら「どうせお金を使うなら顔見知りのお店がいい」と話す。恩着せがましい人間は嫌いだといいながら、パンを買ってくれるお店に対する恩が深い人間ではないだろうかと思う。配達先の方は徳次郎さんのことを「よ。社長!」とふざけて呼ぶ。照れくさそうに会釈をする徳次郎さん。ものすごく愛されてました。徳次郎さんは自分のことを「不愛想で取っつきにくい性格をしている」というけれど、全く不愛想でもないし、取っ付きにくいとも思わない。徳次郎さんをパンで例えるなら、素朴さに覆われ、中身は甘い愛嬌だらけのあんが詰まっている「あんぱん」のような人だと思う。

  • <お世話になった取材先>

    田中徳次郎さん(35)

    たなかのパン 店主

  • <お世話になった取材先>

    田中徳次郎さん(35)たなかのパン 店主

    たなかのパンの店主。小さい頃からパン屋という仕事が身近にあり、一度佐賀を離れ、町のパン屋で研修を受ける。「自分の作りたいものではなく、お客さんが欲しいものを作っていきたい」と日常に根付くパン作りを行う。好きなことはゲーム。

    たなかのパン

    営業時間:10:00〜18:00
    定休日:不定休
    住所:〒840-0531 佐賀県佐賀市富士町栗並2832-17
    電話:0952-57-2070
    駐車場:あり
    ホームページ:http://www.tanakano-pan.com/

  • 山本 卓

    <取材記者>

    山本 卓

    「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)

  • <取材記者>

    山本 卓「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)

    大阪府高槻市出身。10代のころから役者を志す。夢を叶えてCMや大河ドラマをはじめ映画や舞台で活動。劇団「ブラックロック」の主宰を経て、海外公演を自主企画で成功させる。その後、キー局情報番組のディレクターとして番組制作に携わる。夢は日本を動かした100人になること! 地域の人に密着した動画作成や、人の顔が見えるマップを作りたくて移住を決意

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