その一瞬が人生を変える。僕が移住を決意したきっかけ。
- 2020.09.20
- written by 山本 卓

どうも地域の編集者、すぐポン太です。
僕はハッとしたことがある。それは佐賀に移住してきたご夫婦と話していた時のこと。「移住するって、地域に入り、自ら仕事を作って、生活をしなければいけないみたいな感じがするんですよ。でも、私たちは仕事をするときは町に出て、住むのは佐賀の山なので、移住というか『引っ越し』ぐらいの気持ちの方がしっくりくるんですよね」
確かに「移住」という言葉を当たり前に使っていたけれど、考えてみれば、全員が地域に入り自分で仕事を作って、生計を立てなければいけないというわけではない。一般的に移住という言葉のイメージには重さがあることを感じた。
では、なぜ僕が重たいイメージのある移住を決めたのか。そのきっかけのお話をしたいと思います。今移住をしたいと考えているけど一歩踏み出せないでいるあなたの背中を少しでも押すことができれば幸いです。
なぜ移住をしたいと考えたのか?

そもそもなぜ佐賀に移住してきたのか? 僕の場合はとにかく「何か行動を起こしたい」という理由だった。僕の前世はもしかしたらマグロなのかもしれない。ずっと泳ぎ続けないと死んでしまう。それに似ている。
20歳で役者を目指し上京。劇団を立ち上げ、30歳の時に海外で演劇公演を自主企画で行う。それから日本に戻り、役者を辞め、社会人として働いた。ざっくりいうと、僕の年表はこんな感じだ。「順風満帆だね」と言われるが、そんなことはなかった。鳴かず飛ばずの役者人生。お金がなさ過ぎて、1週間を小麦粉1キロで乗り切ったこともある。苦労もたくさんあったけれど、キラキラしていた。幸せだった。その後、社会に出て、仕事をしていく中で自分の中の変化に気づかされた。
「仕事中に僕はまったく笑えていない……」
平日は耐えしのぎ、お休みが待ち遠しい日々。それって、ものすごく勿体ない。週7日のうち5日間は浪費し、自分らしく笑えるのは2日間。人生80年だとしたら、まもなく折り返しに差し掛かる年代になってきた。このままの自分でいいのか? そうして、行動を起こしたのだった。
移住をするためにとった行動が、すべてを決めた。

そして今、こうして佐賀に住み、編集者のお仕事をしているのは、偶然の出会いがあったから。はじめからここに住みたい、と思ったわけではなかったのだ。せっかく新しい環境で生活を始めるなら、まずは「どんな自分になりたいか?」を考えた。思いっきり息を吸い込んで、バカみたいに笑える自分になりたい。そう思った。
それからというもの、移住についてネット検索を使い調べに調べた。だた、決め手に欠ける。文章だとわからないことがある。それは「空気感」だ。実際、移住先がどんなところで、どんな人が住んでいて、周りに何があるのか。それらの空気感がわからないと移住先を決められない。
そこで僕がとった行動は、移住イベントへの参加である。こういう自分になりたいと思い描き、行動すれば、その先にはやっぱり出会いがある。それがまさにきっかけだ。頭で考えるよりまず行動することが大切なのだ。
移住イベントで一番初めに声をかけてくれた方が佐賀県の方だった。「佐賀かぁ。よくわからないな」ってちょっと身構えていたが、実際に佐賀の山で生活している方の話を聞き、話をすればするだけ「佐賀って楽しそうだ」と思うようになっていた。そうなったら気持ちは固まった。「はい! 佐賀に移住します」。今まで「移住をするならどこがいいのか?仕事はあるのか?」なんて悩みに悩んでいたものが嘘のように晴れ渡っていた。
最後のひと押しは「面白くなるかも」というワクワク感

しかし、勢いで「行きます」とは言ったもののまだ悩んでいた。佐賀の山暮らしは僕の中で未知との遭遇なのである。友達とお酒を飲んでいる時にこんな質問をしてみた。「九州って何県があったっけ?」しかし一向に佐賀県の名前が出てこない。「あれ? 佐賀が出てこないって面白くなるかも」イベントで話を聞いているとどうやら仕事内容は佐賀の山の情報発信の仕事。少しでも情報が出てくる場所よりも、ほとんど出てこないほうが自分的に燃える。逆境に立つと笑う性格だったのです。
日常にあるきっかけを掴もうとするかどうかで人生は変わる

「移住するっていろいろ覚悟がいるんでしょ?」って言われます。でも実際は「何か行動したいな」と簡単に考え始めたんです。僕自身も実は、「佐賀に移住」ではなく「隣の町へお引っ越し」ぐらいの気持ちだったのかもしれません。山で生活し始めて1年が経ちます。移住する前に考えていたこと以上の面白い出来事がたくさんありました。今考えてみるとあの時取った行動がよかったなと本気で思います。頭で考えていても分からない。
何かを始めるには行動をしたあとに起こる、「きっかけ」というものが必ず存在する。カレー好きで、いつしかカレーの魅力にハマり、お店を始めた。子どもの頃、工作が大好きで先生に褒められたことをきっかけに物を作る仕事に就いたなど。僕が移住を決めたきっかけは「人との出会い」だったのだと思う。あなたがもし「何か行動したいな」と悩んでいるなら佐賀のお山で待っていますね。
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<取材記者>
山本 卓
「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
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<取材記者>
山本 卓「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
大阪府高槻市出身。10代のころから役者を志す。夢を叶えてCMや大河ドラマをはじめ映画や舞台で活動。劇団「ブラックロック」の主宰を経て、海外公演を自主企画で成功させる。その後、キー局情報番組のディレクターとして番組制作に携わる。夢は日本を動かした100人になること! 地域の人に密着した動画作成や、人の顔が見えるマップを作りたくて移住を決意

