みんなが食べているしいたけは、木から生えているの?
- 2021.03.31
- written by 鵜飼 優子

しいたけは2種類に分けられる
突然ですが皆さん、しいたけってどうやって作られているのか知っていますか?
山や公園などを歩いていると、野生のきのこが木からひょこっと出てるのを見たことはあるでしょう。
そうなんです。しいたけは野生のきのこ同様、自然の木、すなわち原木から生えてきます。
しかし、皆さんが買って食べているしいたけは、森の木を利用して作る「原木しいたけ」と、人工的に作った培地を使う「菌床しいたけ」の2種類に分けられるんです。
原木と菌床では、菌打ちしてから収穫できるようになるまでの期間が大きく違うため、スーパーなどでの販売価格も変わってくるんですね。
取材を通じて、しいたけの奥深さを知った

原木しいたけ作るには、森の中にある木を切り倒したのち、90~120㎝程度の長さに揃え、その原木に菌を打ち込んでいきます。菌が木の全体にまわって、やっとしいたけが生えてくるため時間がかかるんですね。収穫できるまで、菌を打って半年から長くて2年かかるのが一般的です。
それに比べて菌床しいたけは、人工的に作られた20cm四方のブロックを用いて栽培します。早いもので菌を打って5週目から、長くても20週くらいで収穫可能。ですから、年間で4~8サイクル菌を打つことができ、原木しいたけよりも圧倒的に早いペースで収穫できます。
わたしは今まで、しいたけについて食べるばかりで何も知らなかったのですが、佐賀のお山へやってきて、しいたけの奥深さを知りました。

昨年、取材させていただいた「せふりん農園」さんの仕事体験で、初めて菌打ちを体験しました。ドリルで穴をあけて、その穴に菌を入れていく。すっと入っていく感覚が面白く、これがしいたけになるんだなぁと興味深々でした。
その後、採れたての原木しいたけを焼いていただき、あまりのおいしさに感動しました。今まで食べていたしいたけと違い、味が濃くて、風味が豊かでジューシーでめちゃくちゃ美味しいのです。
「しいたけってこんなにおいしいんだ」と。焼いて、少し塩を振るだけでうまみが広がります。この一瞬で原木しいたけの味と触感の虜になりました。
春の山のお仕事、しいたけの菌打ち

佐賀のお山では、春になると多くの人が、仕事のひとつとしてしいたけの菌打ちを行います。私も今年は「林業女子会@さが」の菌打ちに参加しました。
晴れた日に山の中でする菌打ち作業は、とても開放的です。
ドリルでどんどん穴を開けていきます。「しいたけ菌打ち専用ドリル」なんてものもあるんですね。知らなかったです。ドリルを使えば簡単に穴を開けられます。
ただしこのドリル、振動がすごいのでしっかり身構えないと上手く穴を開けられません。けっこう疲れるもので、休み休み作業を進めました。
穴を開けた後は、とんかちでトントンと菌を打ち込みます。無事に菌が回っていきますようにと、心を込めて。
菌を打った原木を一度寝かせて、菌の活着を待ちます。そのあと立てかけて、あとは自然にお任せ。
菌の種類によってもしいたけの生えるペースが違うらしく、今回打った菌は、なんと半年くらいで出てくるそうです。原木しいたけとしては早いですね。
ああ、秋が待ち遠しい。今年もおいしい原木しいたけを食べたいな。


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<取材記者>
鵜飼 優子
「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
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<取材記者>
鵜飼 優子「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
大阪府高槻市出身、ひつじ年。今まで暮らしたことのある地域は、北軽井沢、阿武、萩、佐伯、そして個人的にもご縁を感じている佐賀のお山にやってきました。幼稚園教諭やドーナツ屋さんなど様々なことにチャレンジしています。将来は、こどもとお母さん、家族が集える場所を作ることが目標。佐賀のお山の暮らしを楽しみながら情報発信しています。

