子どもたちのために必死にクリスマス会を盛り上げる山の仲間たち! 大人たちの本気は伝わるのか?
- 2020.03.31
- written by 鵜飼 優子
「みつせCUBEのクリスマス会で劇やってみない?」
きっかけは、そんな何気ない、田中一平さんの一言。完全にノリからはじまった「劇団むらあく」による子どもたちのための本格演劇「ごんべえと星のかけら」。
大人たちが本気で楽しみ、全力で劇に向かった日々の記録を今回はお届けしたいと思います!
大人の本気は子どもたちに伝わるのでしょうか!?
佐賀のお山の愉快な仲間たち!

わたしたち『佐賀のお山の100のしごと』の地域の編集者も所属しているのが、NPO法人Murark(ムラーク) 。
Murarkとは、造語で村を表すMura、箱舟を表すarkをつなげて、Murarkという言葉になったそうです。持続可能な地域づくりを目指すという理念から村の箱舟のような存在になれたらという想いがつまっています。
三瀬村が拠点となっており、元商工会館をリノベーションし、コミュニティカフェ「みつせCUBE」を運営したり、レンタサイクルをしていたり、空き家のことや移住相談なんかも行っています。
みつせCUBEでは毎年クリスマス会を開催するのが恒例になっています。
なんと毎年みつせCUBEには本物のサンタさんがやってくるんです!

いつもはサンタさんとの撮影会だけのクリスマス会でしたが、今年は違います!
地域の編集者の1人、山本卓さんがいるからです!
我らが「劇団むらあく」の団長を務める山本 卓(やまもと すぐる)さんは、もともと演劇をしていて、なんと自分で劇団を作っていたんです!!
演劇をはじめるきっかけは子どもの頃に人見知りを克服するためだったそうです。
今回の演劇では卓さんが、台本から音響、小道具、大道具、演劇指導までを担当し、完全書下ろしの劇「ごんべえと星のかけら」を作ってくれました!

我らが「劇団むらあく」団長 山本 卓(やまもと すぐる)
まずは、簡単にストーリーをご紹介。
主役はきつねのごんべえ。
ごんべえは大好きなおじいさんと山に暮らしています。
ところがある日、おじいさんが病気になってしまいました……。
そこで、ごんべえはおじいさんの病気を治すために、何でも願いが叶うという「星のかけら」を求めて旅に出ることに!
天狗さんや魔女さんに出会い、数々の難問をクリアし、時に裏切られながらも、素直な気持ちを武器に道を切り開くごんべえ。
果たしてごんべえは「星のかけら」を手に入れることができるのか!?
そして、おじいさんが胸に秘めた本当の願いとは……!?
笑いあり、涙ありのストーリーを演じる発足したての「劇団むらあく」の愉快なメンバーをご紹介しながら話を進めたいと思います。

ごんべい役(劇の主人公きつねのごんべい) 堀 智子(ほり ともこ)
山口県萩市出身。中学まではバレー一筋。高校になり、放送劇部に所属。部長を務める。NPO法人Murarkの理事メンバー。劇団むらあくでは、主役のきつねのごんべい役に抜擢! 演技力、声の出し方、ぴかいち。

おじいさん役(ごんべいのおじいさん) 田中 一平(たなか いっぺい)
福岡県出身。Murarkの理事メンバー。有機農家さん。一平農園を経営。劇団むらあくの劇の発端者! 面白いことをどんどんやろうとする行動派。初め演技に照れがあったが、どんどん役に入り込み、ごんべい役の堀さんと素晴らしいコンビ演技を披露。

天狗役(ごんべいの前に立ちはだかり、のちにごんべいの味方となる) 藤瀬 大喜(ふじせ たいき)
佐賀市三瀬村出身。みつせCUBEの隣にアトリエを構える。造形作家さん。実家は、農家民宿「具座」を経営されている。1児の父。かなりの人見知りだったが、大学時代に克服。シャイな中に熱い思いを持っている。劇には、ノリノリで参加。よく通るいい声で、迫力ある演技を披露。その姿を同級生にも見られる。劇中で使ったほしのかけらも制作。小物担当。

魔女役(初めは、魔法使いとして、ごんべいに近づくが、後に恐ろしい魔女へと変身) 馬場 佐和子(ばば さわこ)
佐賀市出身。自然栽培でお茶を育て、売茶翁(ばいさおう)の茶心を元に独自でお茶を振る舞う体験型イベントなどを実施している。経歴が多彩で、ツッコみどころも満載。みつせCUBEのカフェスタッフとして、働いている。佐和子節がたびたび見られ、劇団メンバーから総ツッコみを受けていた。本番は完璧な演技を見せ、やるときはやる、みんなのお姉さん的存在。
練習の最中から笑いあり涙ありの「劇団むらあく」の活躍劇の開演です!
本番までの稽古の回数はなんと、わずか3回!?

初日の練習スタートから、本番のみつせクリスマス会までの練習回数はわずか3回……。
この超大作に対して、演劇初心者のメンバーには、圧倒的に時間が足りないのではないか? 不安と心配がよぎります。
案の定、練習初日は、右も左もわからない「劇団むらあく」のメンバー。
恥ずかしさや、照れ、日常の中では、言ったことのないようなセリフの数々。
劇と呼ぶには、まだ早い。最初の稽古にドキドキ。でも、子どもたちの笑顔のために、メンバーは本気です!
一番初めの稽古では、「正直、こんな本格的にすると思ってなかった」「セリフ多いから覚えられるのかな」と弱気な声も上がっていた劇団むらあくメンバー。
しかし、2回目の稽古では、形になっていき、どんどん意欲的になっていくメンバーたち。
決して、みんなの前では言わないけど、家で何度も繰り返し、セリフの練習をしたり、役に入るこむために、場面に合わせて少人数でもメンバーと個別演技の練習をしたり……。
見えない努力をそれぞれにして、本番を迎えました。

練習の成果か、本番前の最後の通し稽古では、思わずうるっときてしまうほどの良い演技!
いよいよ本番。予報通りの雨空。お客さんがくるのか心配するメンバーの皆さん。その心配はいらなかったくらい、お客さんでいっぱいとなった会場。
劇に夢中になった子どもたちの眩しい視線を浴びながらの大熱演!
そして、最後にはおじいさんの本当の願い。
「いつも苦労をかけてすまんな。わしはごんべえに本物のサンタさんをみせてやりたかったのじゃ!」
この一声と楽しい音楽で入場するサンタさん!!!
劇団むらあくの「ごんべえと星のかけら」は大盛況で幕を閉じ、終わった途端、「天狗さん、問題だして!」「ごんべい一緒にあそぼうよ」と役名で呼ばれるメンバー。「わたし、魔女の役する!」「じゃあ、ごんべいする!」と子どもたちが楽しそうに、マネをしていました。
大人たちの本気が伝わったとき

劇団むらあくみんなの思いは、ただ一つ。「子どもたちに楽しいクリスマスをプレゼントしたい!!!」
きっと、子どもたちにも、その思いは届いたと思います。劇団むらあくのメンバーが本気を出して、劇に取り組んだからこそ、大盛況の劇になり、子どもも一緒にきてくださった大人のみなさんも楽しんでもらえたのではないでしょうか?
何より劇団むらあくみんなの笑顔が増え、心から楽しんでいた姿が印象的でした。何事も本気でするからこそ、面白く、その面白さを他人と分かち合える。
劇団むらあくのみんなによって笑顔が生まれ、お客さんにも、笑顔が広がったクリスマス会になりました。

そして、なんと劇団むらあくは初公演の後、オファーがあり、今年もなにやら動きがありそうです。本気になって、劇に取り組んでみたいというみなさまがいらっしゃいましたら、お声かけください。
わたし自身大人の本気を間近でみることができ、むくむくとやる気が湧いてきました。次は、わたしも劇団員の一員として、本気になりたいと思います。
ぜひ今後も、「劇団むらあく」の動きをお楽しみに! どうぞ、よろしくお願いします。


<取材記者>
鵜飼 優子
「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
<取材記者>
鵜飼 優子「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
大阪府高槻市出身、ひつじ年。今まで暮らしたことのある地域は、北軽井沢、阿武、萩、佐伯、そして個人的にもご縁を感じている佐賀のお山にやってきました。幼稚園教諭やドーナツ屋さんなど様々なことにチャレンジしています。将来は、こどもとお母さん、家族が集える場所を作りたいです。佐賀のお山の暮らしを楽しみながら情報発信していきたいです。

