月に1回のお楽しみ! 子どもたちと地域を繋ぐ 「読み語りの会ホンホン」さん
- 2020.05.23
- written by 鵜飼 優子

「むかし、むかし、あるところに……」
始まった本の読み語り。聞いていると、情景が浮かんできて、気づいたら、本の世界に入り込んでいます。自分で読み進める本もいいけれど、誰かに読んでもらう本も味わい深いですよね。
佐賀市三瀬村にある三瀬小学校では、月に1回、15分の読み語りの会があります。読み語りをされるのは、「読み語りの会 ホンホン」のメンバーの皆さん。
子どもたちからも「ホンホンさん」と呼ばれ親しまれています。メンバーは、三瀬村にお住いの主婦の皆さんが中心。お仕事の調整をしながら、現在7名のメンバーで構成されています。
今回は、助っ人として、ホンホンさんの活動に参加させていただきました。いつもの15分の読み語りでなく、6年生を送る会で、メンバー全員でひとつの物語を子どもたちに届けます。
題材は、「ねずみのお嫁入り」。ねずみのチュー子のお婿さんを探す物語です。太陽や風や壁がお婿さんにふさわしいと次から次に現れます。最後に、チュー子がお婿さんに選ぶのは……。紙の人形を使って、それぞれの役になりきり演じます。
わたしは、チュー子のお婿さん候補のひとり、「風」の役を演じました。ペープサート(紙の人形)が1メートルくらいある大きなもので、はじめの練習では、セリフに集中すると、ペープサートを動かせず。なかなか難しい……。
練習風景を動画で撮影し、練習したあとに見返すのですが……。自分の演じている「風」は、「風」が喋っているシーンなのに、動きが小さく、なんだか棒読みな感じ。だれが話しているのか、わからない。「うーん、なんだかなあ」というような動きでした。
動画をみんなで見返しながら、動きや立ち位置の確認やアドバイスをもらい、もう一度練習。
2回目の練習では、セリフと連動する動きを意識。すると、「風」が喋っている雰囲気が出てきて、私自身も先ほどに比べて、役になりきれた気がしました。
ホンホンメンバーの皆さんも、それぞれ動きを確認しながら、「さっきよりいいよね」「このセリフこんなイメージだよね、こんな感じでセリフ言ってみたらいいかも」とみんなで研究。
いろいろアイデアを出し合い、和気あいあいとした雰囲気です。
毎回、2時間ほど取っていた練習時間を、たっぷり使い、何度も繰り返し練習。皆さんの熱を感じます。
「わたしたち、本番に強いからだいじょうぶね!」と迎えた本番当日。
始まる前のリハーサルでは、細かい動きの心配があったわたし。そんなとき、皆さんのかけてくれる「だいじょうぶ」の言葉が心強く、頼もしく、「ぜったい大丈夫」と安心した気持ちに。そして、わくわくしながら、出番を待ちました。
そして本番。演じている時間は、あっという間。子どもたちは、しーんと物語に入りこみ、聞いてくれていました。終わった瞬間、大きな拍手が。なかなか拍手をもらう機会なんてなかったので、照れくさい気もしながら、「子どもたちに届いた」、「よかったと」一安心……!
本番は、さすがの一言! 本番に強いホンホンの皆さん。今までで一番いい出来栄え!
わたし自身も、めちゃくちゃよかったと自画自賛できるくらい。(笑)
ホンホンさんの活動に参加させてもらい、地域のみんなで子どもたちのために集まる時間が自分自身も楽しくて、あたたかい時間を過ごせました! みんなで何かをつくること、子どもたちと触れ合うこと、いい経験になりました。
読み語りがきっかけに、いろいろな本に出会い、人に出会う。子どもたちにとっても、読んでいるホンホンメンバーの皆さんにとっても、とてもいい時間なのだなと思いました。
ホンホンさんの活動は、なんと丸14年も続いているそうです。きっかけは、三瀬小学校の当時の校長先生の「読書」を中心にした教育だったそうです。学校と地域のかかわりを多くもちたいとのことから、保護者の方が中心となり、読み語りが始まりました。
これからも月に1度の読み語りの会は続いていきます。わたしもぜひ参加したいと思っています!


<取材記者>
鵜飼 優子
「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
<取材記者>
鵜飼 優子「佐賀のお山の100のしごと」記者/地域の編集者(地域おこし協力隊)
大阪府高槻市出身、ひつじ年。今まで暮らしたことのある地域は、北軽井沢、阿武、萩、佐伯、そして個人的にもご縁を感じている佐賀のお山にやってきました。幼稚園教諭やドーナツ屋さんなど様々なことにチャレンジしています。将来は、こどもとお母さん、家族が集える場所を作りたいです。佐賀のお山の暮らしを楽しみながら情報発信していきたいです。

